エッセイ
シカミミの絵日記19『学生九条の会 / ドライブ・レンタカー』
201407/06
その日の授業後「あの、共産主義は好きですか?」と見知らぬ青年に尋ねられた。あたかも「綺麗なお姉さんは好きですか?」と聞くかのように。思わずハイ、と答えてしまった。これが運命のはじまりだった。彼の名はSと言…
『祖父の十五年戦争 / 満州入植からシベリア抑留へ』
201406/29
以下の記録は、祖父の沈黙からこぼれおちた言葉と周囲の証言、そして史実をもとに構成された戦争体験、ならびにある一族の約百年にわたる歴史である。その作業はかけらを見つけては想像し型にはめ合わすジグゾーパズルのよ…
第21回別冊スクラップブック『レコードプレーヤーを買ってみた / SIDE 2 母の《初恋》』
201406/12
ときは中学。ぼくは陸上部の部長。校庭をひとっ走りして汗を拭っていたところ、後輩がなにやらおびえた様子で近づいてくる。「先輩、校門の木陰に、アヤシイ人がいます……。」「なんだって!!」とぼくは力んだ。近ごろ…
シカミミの絵日記18『校正のお仕事』
201406/03
ぼくが「脱就活」を掲げかつ「脱就職」状態にあった頃、世界は南仏ニースのように明るく輝いていたが、世間はこのニートを冷たく見ていた。しかし脱就活を誓った以上、今さらエントリーシートなど書けない。日々好きな落…
第19回別冊スクラップブック『愛しのブースカ兄妹 / 恋の永劫回帰』
201404/07
「淡泊宣言」をしたらさまざまな反響があり、ぼくの「身体的下部構造」はいまもって沈静化していない。いや、そうではなく“沈静化の状態”こそが問題なのであろう。カフェ連れ回しの件での「彼女をカフェイン中毒にさせ…