エッセイ
第18回別冊スクラップブック『淡泊宣言 / 恋に木枯らし』
201404/01
高田馬場でS先生を囲み仲間たちと飲んでいた。だいぶ酔いもまわってきた頃、話題は哲学・社会問題からなぜかぼくの学生時代の恋愛話(恋バナ)に移っていた。ぼくは淡々と答えていった。沖縄と東京で遠距離恋愛していた…
シカミミの絵日記15『お掃除』
201403/20
それは突然やってきた。ぼくは雷に打たれたように新宿駅地下の雑踏に立ち尽くした。行き交う人々の足音がいつもより大きく聞こえる。ぼくは動けないでいた、便意に催されて。 あまり刺激…
シカミミの絵日記14『北面の竹』
201402/28
「もう誰も知らないだろうけど」と父は言った。「大山倍達先生は道場生によく“北面の竹”の話をした。寒く、厳しいところで育った山の北面の竹は、尺八にしたときに良い音がする。それに対し、日当たりの…
第17回別冊スクラップブック『腕時計のオーバーホールに挑む / OMEGA スピードマスター』
201402/11
東京に45年ぶりの大雪が降った翌日に、ぼくは床屋に髪を切りに行った。番町にある、居心地の良い床屋だ。いつものごとく他愛もない話を交わしていると、担当の理容師さんがふと、来月で店を移ってしまう…
第16回別冊スクラップブック『寂しき番町街 / Positively Bancho Street』
201401/24
麹町に移り住んでから七年が経った。自分の住む街について書いてみようと思う。その前に、ぼくは何でもない通りが好きだ。それは趣のある小路といったものでもなければ、交通の要である幹線道路といったものでもない。住…