エッセイ

シカミミの絵日記13『冬の旅』

201401/19

   Pコートを身にまとい少し足早に風を切って歩き、道端の自販機で買った缶コーヒーを握りしめ、通勤電車にすべり込む。冷気でこわばった顔がだんだんと和らぎ、流れゆく景色をなんとなく見やっていると、このままどこか遠…

シカミミの絵日記11『海の向こうと、こちら側』

201401/12

  “星のかわりに 夜ごとことばに火がともる。 生きることほど、人生の疲れを癒してくれるものは、ない。” ウンベルト・サバ    須賀敦子が愛した詩人、サバの一節より。これはミラノを詠んだものらしい。…

シカミミの絵日記10『追憶のハイスクール01』

201401/09

     高校生といったらコレというアイテムがいくつかある。紙パックやサブバックは良い例だ。その他、学ラン、自転車、弁当箱、色々と思い浮かぶ。そしてそれにまつわる思い出も。放課後のチャイムが鳴り、駐輪…

『セルフ・ポートレイト / Mの肖像』

201401/04

   「花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ。」    この有名な言葉をいつどこで覚えて、今までポケットの中にしまいこんでいたのかわからない。長い間、取り出せばさまざまな別れを無意識のうちに片…