Notes
シカミミの文章
シカミミの絵日記15『お掃除』
201403/20
それは突然やってきた。ぼくは雷に打たれたように新宿駅地下の雑踏に立ち尽くした。行き交う人々の足音がいつもより大きく聞こえる。ぼくは動けないでいた、便意に催されて。 あまり刺激…
シカミミの絵日記14『北面の竹』
201402/28
「もう誰も知らないだろうけど」と父は言った。「大山倍達先生は道場生によく“北面の竹”の話をした。寒く、厳しいところで育った山の北面の竹は、尺八にしたときに良い音がする。それに対し、日当たりの…
詩No.2『Strontium Café』
201402/21
サイドミラーから見えた過去には 作業着姿の友人が 90年代には戻れないと呟いている “久しぶり、マスクをとって、どうぞ一服。” 彼はタバコの煙に身を隠す いずれ今日は明日に追いつ…
シカ噺2『狸の就活』
201402/18
聞くところによりますと、東京では四十数年振りの大雪が降っているそうで、こうも寒い日がつづきますと、朝布団から起きられなかったり、昼間も仕事に身が入らなかったりと辛いものでございます。 しか…
第17回別冊スクラップブック『腕時計のオーバーホールに挑む / OMEGA スピードマスター』
201402/11
東京に45年ぶりの大雪が降った翌日に、ぼくは床屋に髪を切りに行った。番町にある、居心地の良い床屋だ。いつものごとく他愛もない話を交わしていると、担当の理容師さんがふと、来月で店を移ってしまう…