Notes

シカミミの文章

月は空にメダルのように

201608/30

   リオ五輪・男子400mリレーで日本が銀メダルを獲得したというニュースを、私は出張先から帰ろうとする駅の待合室で知り、その夕刊の見出しを嘘かホントかと見定めながら軽く足に力を込め、太もも裏の古傷が確かにうず…

八月 私の狂詩曲 No.3

201508/08

   母の生家を訪れると、いつも祖父と祖母が待っていて、まずはお腹を満たす食事でもてなしてくれる。もうこれ以上食べられないと眠りについても、翌朝には普段はあまりとらない朝食をかきこむ自分がいる。   …

八月 私の狂詩曲 No.2

201506/17

   携帯のアドレス帳は手当たり次第に交換した人の名前でいっぱいになり、中学生の私の自尊心をくすぐった。今となっては途切れた人間関係のリストに転じてしまい時折苦い思いをするが、部活動の顧問とメアド交換したのも違…

八月 私の狂詩曲 No.1

201506/14

   亡くなった祖父の電話番号を今も携帯から消せないでいるのは、人の生死と存在とは別物であることを心ひそかに悟っているからかもしれない。例えば午後の昼下がり、目の前の紙コップに耳を当て、思いを紡いだ糸をピンと張…