エッセイ

第25回別冊スクラップブック『峠の釜めしを買ってみた』

201705/07

 連休中、峠の釜めしが無性に食べたくなった。土釜の使い道にあれこれと思い悩むあの駅弁である。思い立ってさあ群馬県は横川へ行こうとはなかなかできないので、グーグルマップのストリートビューを動かし旅行気分を味わっていた。国道…

白いマットのジャングルに

201704/22

   先日、ファッション誌に載って得意な顔をしている父だが、息子である僕と背格好がほぼ一緒であるため、やがてお下がりにできるからと次々に服を買い求めている。少しでも老後の資金に充てた方がいいんじゃないの、と無頓…

今夜だけきっと

201704/08

   花見で漫然とオリオンビールを手にしてその三ツ星を眺めていたら、しんとした塾からの帰り道を思い出した。中学の頃だ。あごを上げ自転車のペダルを踏みしめると、夜空にくっきりと浮かぶオリオン座が視界に入ってきた。…

「文体」と言われるものについて(その4)

201704/01

   出土した木簡の字数がすべて140字以内に収められていて、そこには無記名で役人の愚痴がつぶやかれていたりと、Twitterの起源は奈良時代に!? と思わせる記事が東京新聞に載っていた。今回もまた途中になって…

カメレオンの生態についての寓話

201703/23

   ペットショップの片隅に、一匹のカメレオンがいた。自他共に認める恥ずかしがり屋で、人の顔色をうかがっては体色を変えて波風立てずに過ごしてきた。左右別個に動く目でいつも必死に追うのは店主の姿であったが、どんな…