妻鹿日記(85)マイホーム

202005/20
Category : Notes妻鹿日記 Tag :

妻しか(鹿)日記

登場人物: 妻…妻 私…鹿

第85回:妻としかできない その3

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あつ森」を開拓中。妻はマイホームを買って、ローンは島で釣った魚で返そうとしている。

けっこう楽しそうに戯れている妻を横目に、現実でも家を買ったらどうなるのか、考えはじめた。

ちょっと調べてみただけでも、賃貸 / 購入、一戸建て / マンション、新築 / 中古など、それぞれの選択肢にそれぞれの見方があるが、突き詰めれば「なにに価値を置き、もっとも幸せを感じられるか」にかかっていると考えられる。

選択に大きな影響を与えるローンもそうだろう。

貸借対照表をみれば、負債も資産を構成する要素だとわかる。

個人の家庭の場合、資産を投資ではなく、純粋に効用だけにむけるものとして、

なにが起こるかわからない人生、いまの効用を手に入れてQOLを少しでも高めようと考えるひともいれば、その不確定さが「返せなくなるかも…」と不安を招き、かえって生活のゆとりがなくなるひともいるだろう。

前者では低金利かつ長期のローンはありがたいものにみえるし、後者では長期にわたる苦しみに感じられる。

「いずれ死ぬ」ことに対し、“だから得られるものは得ておこう”と“だから手は出せない”という正反対の姿勢が導かれる。

これはどちらが正しいかという話ではない。時代や場所によっても答えは変動してくる。

どうしようか。そういえば、父鹿はちょうどいまの鹿くらいの年で、家を買った。

この年で決断をしたのか。思ったより若いな。大丈夫か。いや、大丈夫だったんだなあ。

鹿は最近、住宅情報誌を片手に実地調査もおこなっているが、小学鹿のころ、これとおなじような背中を見たことがある。

結局、単身赴任や引っ越しなどしたので、住まいの効用を十分にはかることはできないが、その家がなければいまの鹿がなかったと思うと(よって妻鹿もない)、少なくとも鹿にとっては価値ある選択だったようだ。

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