妻鹿日記(1)こしょう
201908/19
妻しか(鹿)日記
登場人物:妻…妻 私…鹿
第1回:妻しか料理がつくれない
* * *
妻は料理がうまい。
これをのろけにならないように表現したかったが、事実を変えることはできず、そのまま書いた。
テレビで人気中華店をめぐる「辛いもの特集」をやっていて、冗談で「これつくろう」といったら「つくったことあるよ」とかえされて、つくれない者が安易に冗談をいうものではないと自制する次第。
しかし、鹿も手料理ひとつなにかつくれなければ、愛想をつかされはしないか。
と、スーパーで妻のうしろをピカチュウのようについているとき、思った。
戦えないピカチュウは、モンスターボールから一生でられない。
!
鹿「なにか手伝えることがあったら」
妻「いいよ。本でも読んでて」
鹿「はい」
ふむ。モンスターボールの暗闇が近づく。
ある日、そうやって読書をしていたら、「ちょっと手伝ってくれる?」との声が。
!
“ピカチュウ、キミにきめた!”
本を投げ捨て、妻のもとに駆けよる鹿。
聞けばこしょうをぐるぐるまわして、鶏肉にかけてほしいとのこと。
鹿「つぎは?」
妻「おわり」
鹿「はい」
しばらくは冷蔵庫でキンキンの氷をつくってみせるんだ。
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