妻鹿日記(188)あの瞬間、銀座線で
202303/23
妻しか(鹿)日記
登場人物: 私…鹿 妻…妻
第188回:妻としか祝わない
* * *
WBC準決勝の最終回。妻鹿は神宮球場に向かう道中で、銀座線のホームに並んでいた。
チャンスを迎えたところで止まってしまったテキスト速報が、ようやく更新された。
【センターへのタイムリーツーベースで日本逆転サヨナラ勝ち! 日6-5メ】
鹿|( ゚д゚)アッ!
と思わず大きな声を出した鹿に、前列の女性たちが振り返る。
(これじゃ不審者だ……と思ったのも束の間に)
妻|( ;∀;) 村上が打ったんですよ! 村上が打ったんですよ!! 勝ったんですよ!!!
みずから率先して見ず知らずの女性たちに語りかける妻。周りにもどよめきが広がる。
鹿は驚いた。柄じゃないというか、本当にびっくりした。
女性たちも歓声を上げ、みんなが一瞬、友だちになった。
車内に移ってからもどよめきが続いていた。不思議な一体感を味わい、ふわふわした足取りで球場に入った。
WBCの白昼夢。妻の純真さが輝いていた。
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