妻鹿日記(187)合格祈願
202303/14
妻しか(鹿)日記
登場人物: 私…鹿 妻…妻
第187回:妻としか歩かない
* * *
ここ最近、妻が試験勉強で家にこもることが多かった。
一緒にお出かけできない。
行く先々で妻が隣にいることの安心感を思い知った。
他人に与える“感”も含めて。
昼下がり、おじさん一人でうろつくことへの周囲の警戒感のようなものを時々、感じる。
もちろん一人でいる時代が長かった鹿にとって、そんなのは偏見(か妄想)に過ぎないのはわかっている。
『孤独のグルメ』しかり、一人で食べ歩くことなんて何も気にすることはないばかりか、共感さえ呼んでいる節がある。
――それが松重さんである限りは。
気を抜くと吉◯類側の空気を醸し出してしまう鹿は、心して振る舞わなくてはならないと勝手に意識している。
“こんな場所に紛れ込んできましたが人畜無害な鹿です だから安心して受け入れてください”オーラを放ちつつ、店でも公園でも入っていく。
妻がいれば、何ごとも“お連れ様”のポジションが与えられるため、挙動不審にならずに済むのだ。
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