妻鹿日記(169)コンポ復活
妻しか(鹿)日記
登場人物: 私…鹿 妻…妻
第169回:妻としか聴かない
* * *
ミニコンポを買うなんて何年ぶりだろうか。
ある時代までは、特に音楽好きでなくても、音源をテープやCD、MDにコピーするためにコンポを持っていたように思う。
それがPCで簡単にできるようになり、再生もスマホがあれば事足りるようになってからは、コンポを家に置く理由がほぼなくなった。
しかし、最近プチリフォームに凝り始めた鹿は、改めてコンポに目をつけた。音もインテリアの一つ、と考えるようになったからだ。
家具や照明だけが“心地よい空間”を作るのではない。それを満たす音もまた重要なのだ!
そして妻鹿たちは家電屋に出向き耳を傾け、最終的にビクターが開発した「ウッドコーン」搭載のコンポを選んだ。
文字どおり「木」で作られたスピーカーである。
その誕生物語を読んでみると、美しい音色を奏でるヴァイオリンやギターなどは木でできているんだから、スピーカーも木で作るべきでは? という発想からスタートしたらしい。
要は“スピーカーは楽器でありたい”ということだ。
聴いてみるとまさに、ちょっとしたコンサートホールにいるような心地になった。
とくに木の筐体を用いた楽器・楽曲との相性が素晴らしく、ジャズやクラシックを流せば“耳”が離せない。
イヤホンでは感じられなかった音の響きが、そこにはあった。
すなわち音は振動であり、外耳ではなく空間に響き渡るそれに本来の味わいがあるのだなあと思った。
でもこれ、作るのは大変だったみたい。木は割れやすく、加工しにくい。
あるとき、スルメは日本酒につければ柔らかくなるのを知り、それならばと木を酒に浸してみたら成形できる程度に柔軟になったという。
この甘美な響きには、米の甘みも含まれていたのか。酒はすべてを解決する。音楽&酒好きは、たまらない逸品でしょう。
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