妻鹿日記(149)もう理想では満足できない
202105/11
妻しか(鹿)日記
登場人物:私…鹿 妻…妻
第149回:妻としか入らない
* * *
多摩川を越えた先に、いい風呂を見つけた。
洗い場に入った瞬間、全身で「優」の判断を下した。
鹿は裸眼ではほぼなにも見えないのだが、お風呂だけは別。ここがこうなら、あそこはこうなっているだろうと見当がつく。
流行り廃りもあるが、公衆浴場のレイアウトおよび品(風呂)ぞろえは、その規模に応じてだいたい決まっているからだ。
同様に、「ぬる湯」と「熱湯」の違いも位置関係でわかる。誤って飛び跳ねることはない。
各風呂の効能書きはさすがに読めないが、内容がわからないことはない。たとえば炭酸泉のそれにはかなりの確率で「ドイツ」が登場してくる。古くから心臓の湯として親しまれてきたらしい。
視力2.0のスピードで答え合わせのように湯船につかっていくと、果たして大正解。炭酸の濃度、露天風呂の風、ジェットバスの微妙な加減など、いずれも理想的だった。
あとは妻がいれば「完璧」だった。今度は一緒に行ってみたい。
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