妻鹿日記(133)おうち探し⑳「新居」
202012/24
妻しか(鹿)日記
登場人物: 私…鹿 妻…妻
第133回:妻としか住まない その22
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一度しか見学しなかったという若干の不安はみごとに払拭された。
収納は十分、設備も使い勝手がよく、思わぬ利点もあってお釣りがくるほどだ。
それは夜景が見えたこと。住宅の夜の姿というものは、実際に住んでみないとわからない。
入居後、はじめての夜を明かし、煌々と輝く街の灯りを眼下に望んだときは、ふたりで飛び上がった。
当初希望していた戸建てじゃなくてよかった。タワマンに住みたいというひとの気持ちも、なんとなーくわかった。
また、ある程度の広さや開放感が、どれほど人間の心理に影響を及ぼすのかも知った。
もちろん基本は住人の心がけだが、その“心”は思った以上に環境とリンクしているようだ。
心身にゆとりをもたらすべく、ひとは家電や寝具にこだわったりするが、その考えを突き詰めれば、最終的にはそれらを囲む“家”そのものに行きつくのだろう。
鹿は引越しの疲れもすぐに癒えてしまった。妻もより健やかに過ごしてほしい。
妻鹿が投資したものの正体は「健康」だった。このご時世、経済的には物件購入をすすめにくいが、時代の最重要課題となった「健康」に目を向ければ、案外、賭けてみる価値があるかもしれない。
そして思い立ったらだれでも挑めるように、ここに、おうち探し日記(全20話)を記す。必要なとき、あらためてご一読いただきたい。
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