コラム執筆『喜劇 愛妻物語』
202009/14
Category : Notes ・ 映画道シカミミ見聞録
連載コラム「映画道シカミミ見聞録」9月分が掲載されました。
▼第51回|『喜劇 愛妻物語』ネタバレあり感想考察。脚本家の足立紳として“元ネタ・リスペクト新藤兼人版”との違いから解説
売れない脚本家とそれを支える妻。
脚本家の代わりに、別の仕事を入れてもいいでしょう。映画にも現実にもよくみる組み合わせです。
ただ、本作はそれを美談に仕立てることはなく、ふがいなさを徹底的に攻め、容赦なく問いただすことで、喜劇や悲劇の枠組みを超えた不思議な関係が、言うなれば“究極の夫婦愛”が描かれます。
その見どころのひとつに、妻が言い放つ罵詈雑言が挙げられているのですが、じつはそうでもなくて、ちゃんと聞けばどれも愛情に裏打ちされているのがわかります。
あるいはこんな表情にも。貧乏ゆえ、懸賞かなにかで苦労してとった宿。入るや否や、はしゃぎだす夫と娘を横目に、口元に笑みを浮かべる妻。
それまでどんなに不機嫌でも、家族のちょっとした喜びに反応してしまう。こういうところが、ほんとうにリアルです。
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