妻鹿日記(106)安全地帯
202009/04
妻しか(鹿)日記
登場人物: 私…鹿 妻…妻
第106回:妻しか買えない
* * *
妻はシャープマスクを非常時の備えにしたかったらしい。
残念ながら日常使いとなってしまったが、このご時世、防災意識は欠かせない。9/1の防災の日には、新聞に挟まれていた浸水マップを隈なくみた。
家探しでも、ハザードマップをまず確認するようになった。おかげで、安い、良い! と飛びついたあと、落胆することも多くなった。
そういう物件は、だいたいが浸水領域にあるからだ。にっくき多摩川。いや、恵みをもたらす水を恨んではいけない。人間の勝手な都合で、毎度、水害だなんだと騒いでいるだけだ。
でも、わかってても、人は川辺に家を建てる。あるいは住まざるを得ない社会的環境におかれている。
リスクを承知で、手をだすしかないのか。想像してみる。雨だ、台風だ、氾濫だ。冠水した町を泳いで逃げる鹿。
泳げぬ妻。
だめだ。浸水地帯に住むわけにいかない。
働いて、文字どおり“上”を目指すのだ。
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