妻鹿日記(79)文は夫婦なり
202004/29
妻しか(鹿)日記
登場人物: 妻…妻 私…鹿
第79回:妻しか書けない
* * *
夫婦はだんだんと似てくるという。
野村監督とサッチーなどみると、なるほどたしかにそうだと思うが、(顔つきが)似てきたのか、そもそも似ていたのかは判別しづらい。
われわれもそんなところがある。
妻はこのコロナ禍に見舞われるまえから、外出は公園で十分と言っていたが、ほんとうはどこか行きたいところがあるのではないか。
一方ですっかりお酒をやめた鹿は、いつも素面でいる妻の影響を受けたのか。
そんな“類似点の落ち着きどころ”はこれからも増えていくのだろうが、ある日見いだしたこの点は意外な発見であった。
鹿が夫婦の贈り物に添える手紙を口述していたところ、妻は「二人で」という語りを「ふたりで」と記していた。
おお、鹿の感覚と似ている。
最近はスマホやパソコンの変換機能に任せて漢字を多用する人が多いなかで、妻はうまい具合にひらがなを選ぶ。
「宜しく」だって「よろしく」と書いてくれる。こちらのほうが、読みやすいし、親近感も与えるだろう。
鹿が日ごろ書くコラムには、そのような小さなこだわりがいくつか込められている。
他人からすればどうでもいいが、自分にとって大事なことで、妻とフィーリングが近づいてくるのは、かなりうれしい。
またそれは、妻がもっとも鹿の文章を読みこんでいる「読者」であろうことも示していて、二重に感動的な瞬間であった。
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