妻鹿日記(65)すでに鹿

202003/10
Category : Notes妻鹿日記 Tag :

妻しか(鹿)日記

登場人物:妻…妻 私…鹿

第65回:妻しかわからない その16

* * *

アウトレットモールで買い物を終えるころには、足が棒になっていた。

だが鹿は、B’zのかのバラードのように、荷物抱え電車のなか幸せだった。

妻「飛ぶ鳥も、きっと、疲れるはず」

鹿「え」

ほんとの空が見たい

いきなり詩人になったのかと思った。

妻いわく、人は歩けばそのぶん疲れるのだから、鳥も羽ばたくだけ疲れるはずだと。

考えもしなかったな。でもそういったところに想像力を働かせてみると、海を泳ぐ魚はどうか、地を這うミミズはどうかと、きりがない。

まあおそらく、人間ほど“疲れた”という自覚はないのだろう。

疲れたら休む。これ自然の摂理。疲れても働く。これ人間の業。

あゝ猫になりたい。

鹿はなんだろうか

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