妻しか（鹿）日記

登場人物：私…鹿　妻…妻

第52回：妻しかわからない　その12

＊　＊　＊

最近、なんだか寒いね、となった。毎日、暖房はつけてるし、温かい風呂もわかしている。

うーん、なんでだろう。

と、首元まで掛け布団を引きあげる。

！

ああ、そうか、われわれがかぶっているのは、夏の布団だ。それは軽くて、薄い。

ときは2月。立春はとうに過ぎた。妻も鹿もうっかりしていた。

困ったときは、お、ねだん以上。ニトリ。われわれの財力では、O塚家具はもとより、S忠に行くことさえままならぬ。

ただ、ここは鹿も男。寒い思いをさせてしまった妻に、ダブルベッド、いやクイーンサイズのベッドをプレゼントして、ゆったりと寝てもらおう！

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店を出たあとの鹿の腕には、ダブルサイズの毛布が抱えられていた。

シングルのマットレスに、「ふんわり あったか マイクロ ファイバー 毛布」をかけた。ダブルの。

妻はぬくぬくとしていた。