妻鹿日記(50)西武時代のように
202001/28
妻しか(鹿)日記
登場人物:私…鹿 過去の私…子鹿 妻…妻
第50回:妻しかわからない その11
* * *
ヘアバンドを巻いた妻が、TVで長渕剛をみていた。
その姿をみて、鹿が子鹿だったころ、父鹿の運転する車のカーステレオからよく流れていた“ぴいぴいぴい”を思いだした。
すこし成長した小学生。鹿はまた“彼”と出会う。TV中継に映る東京ドーム。大きな男が、たまに股間をさすりながら、バッターボックスに入ってくる。
オレンジ色に染まったライトスタンドは「ふぅおーふぉーふぉー」の大合唱。
思うに、N渕さんもK原さんも、黒くたくましくなるまえは、その強さと脆さのあわいに、ちょっとセクシーな魅力があったんじゃないか。
妻がどんな気持ちでTVに見入っていたかわからないが、鹿はまだ、線が細くていいやと思った。
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