妻鹿日記(38)嵐と一緒
202001/02
妻しか(鹿)日記
登場人物:私…鹿 妻…妻
第38回:妻しか得られない
* * *
年明け。郵便受けを確認。年賀状を夫婦で振りわけた。
妻、妻、妻
妻、妻
妻
……鹿0枚! 人気者の妻! うれしいねえ!!
な正月。まあ、年賀状を出さずにもらおうとするみずからの浅はかさを嘆いてもしょうがない。
鹿は長らく“年賀”の気持ちを知らずに過ごしてきた。
好きな歌手がでるわけでもない紅白歌合戦に興味はなく、新年早々に苦悶の表情を浮かべる若者(*´Д`)を愛でる駅伝も趣味ではなかった。
つまるところ、じぶんの好きな“もの”に触れる時間が、年末年始だと感じていた。
でも、妻の実家にはじめてお邪魔してわかったことは、じぶんの好きな“ひと”と触れる物事がすべておもしろい、ということだった。
紅白は茶番かもしれない。駅伝は悪趣味かもしれない。しかし、たとえそうであっても、見るべきものはテレビの向こうではなくこちらの「顔」にあって、毎年、決まった時期に、テレビを囲む「時間」を提供してくれるのは、たしかにありがたい。
笑うこと、喜ぶこと、涙すること。ドラマはここにあり。年末年始のさまざまな“儀式”はそのものに意味があるのではなく、それを機に集まったひとたちに「物語」のつづきをゆだねている。
!
暦は人間が勝手に決めたものと言われることがあるが(鹿も“令和初”などの言葉に意味を見いだせずにいたが)、毎年、物語の創造または再生の機会が組み込まれているのは、いいことだ。
めでたい、めでたい、よし年賀状を書こう。
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