無印にて
201904/07
Category : Notes ・ 別冊スクラップブック
銀座にオープンした無印良品に行ってみた。行ってみたというより、紛れ込んでしまった。
マロニエ通りに長蛇の列ができていて、足止めを食らっているうちに、店内に導かれた。
まあ、おしゃれなこと。上層階にはホテルがある。「無印」という個性を消すことを旗印としてきた企業が、ここまで自己存在をアピールしてもいいのか。
そこに、マロニエの樹の根をみて嘔吐に襲われたロカンタンのような意味の剥奪を感じた。
しかし、買うものは買って帰る。それが資本主義の作法。ちょうど目当てのものがあった。
壁掛式Bluetoothスピーカー。文字通り、壁に掛けることのできる、ブルートゥースのスピーカー。
紐を引っ張れば、スイッチが入り、部屋に音楽が流れる。なんと雅で素晴らしい空間。
プレイリストを設定しておけば、さながら有線放送のよう。
好きな曲がめぐってくると、自然に体が反応し、小躍りしてしまう。なかなか良い商品だった。
しかし、無印ブランドというものは、このようにさりげなく生活空間に侵入してくる。
彼らは“無”ではない。“無”をもって象徴交換をしかけている。
消費社会において、「無の記号」を手中に収めた企業は、ラスボス感がある。あんなにオーガニックな優しい顔をしながら。
と、この長い口上は、私がしんゆりの無印(OPA内に2018年12月にリニューアルオープンした)に通っているエクスキューズでした。いいね。あそこ。うん、いいよ。できて正解。
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