哲学者はBARにいる1

201807/07

 

なにかと忙しい7月。土曜の仕事おわりに飲んでいると、田辺秋守先生が「彼らはどんな関係だと思う?」とふいに尋ねてくる。10名弱の集団が酒場にぞろぞろと入ってきて、マスターふくめてにぎやかに会話を楽しんでいたのだ。

 

※写真はイメージです

 

「えっ」と慌てるのもつかの間に、「10…9…8…」とカウントダウンがはじまり、必死に耳を傾けてどんな集団かをさぐりはじめる。どうやら先生はわかっているようだ。わかっていながら質問をするのもフェアではないと感じつつ、外せば教え子の面目が失われると、うーん、うーんと必死に思考をめぐらせる。

 

親しげに話している様子から、まず「地元のひと」と言って逃げようとしたが、「こいつ信じられん…」という顔をされたのでつづきを考える。「5…4…3…」と無情にも時は過ぎ去り、残り1秒というときになって「ヤード」という単語が耳に入る。すかさず「ゴルフ」と答えて、どうにか「うむ」というかたちでおさまった。

 

この愚鈍さに「探偵にはなれん」との評価をいただいたが、田辺先生のカウンター前にはいくつかのコンペのトロフィーとゴルフ雑誌が置かれているを目にして、「…!!」と地団駄を踏んだ。しかし「まわりをよく観察して」とヒントをもらっていたのもまた確かで、それを会話だけに絞っていた自分の未熟さを思い知った。

 

「観察」は仕事にも求められるスキルである。そして何歳になっても教えを乞える師匠がいるのは、いいものである。探偵にはなれなくとも、活かせる分野でとことん活かして、がんばっていけたら思う。

 

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