第7回別冊スクラップブック『DigiFiアンプを手に入れて / ヘッドホン人生の第二歩目』
今月のクレジットカードの返済には苦しんだ。ロイドフットウェアを履くことによって日々の足どりはとても軽くなったものの、靴の返済額32,000円が重くのしかかってきた。実は会計時に「分割払いにしてください」と言い出せなくて、もたもたしているうちに一括でしゅっと端末機に通されてしまったのだ。たとえ親切に対応してくれた店員さんであっても、初対面の人とのコミュニケーションはどうしても苦手で、さらにこんな良い靴屋さんで分割払いにするのは恥ずかしいという愚かな見栄が、この悲劇を生んだ。ときは五月。ゴールデンウィークで仕事が少ない。本を大量に売ったのもこれに関係している。懸命に働きつづけることで、この返済はなんとか成し遂げた。
どっと疲れがたまったことや、自分のなかでうまくいかない物事が色々とあって、いつしかぼくは元気をなくしていた。体を動かすことさえおっくうだった。そんなとき、ケータイの振動音が部屋に鳴り響いた。体を横たえたままの姿勢で、届いたメールを見る。菩提寺医師からだ。
「デジファイという雑誌が出て三千円強なんだけど、USBヘッドホンアンプが付録でついてて破格値かも。」
ぼくは再び目を閉じた。つづいてメールが来た。光世さんからだ。題名に「DigiFi」、本文にURLだけが貼られていた。これはなにかある。リンクを開いてみると、Amazonの『DigiFi No.10 特別付録ヘッドフォンアンプつき』の販売ページがあらわれた。もう欠品でプレミア価格がついており、レビューを簡単に流し読みしてみると、「充実」「素晴らしい」「初心者買い」と絶賛のあらし。再度、なにかすごいことが起きていると漠然と思いつつ、その日は寝た。
翌朝、パソコンの音楽ファイルを高音質で再生する「USB-DAC」のことや、「別冊ステレオサウンド」がつい先日(5/28)そのヘッドホンアンプを付録として売り出したことを理解した。ぼくのなかでむくむくとある感情が湧いてきた。しかしまだテンションは下がったままだ。返済の“後遺症”とでもいうべきお金のこともあるし、まだまだ疲弊していて乗り気ではない。興味を頭の片隅でとどめながら、午前の仕事を終えた。
昼休み、ぼくの足は自然と代々木方面の紀伊國屋書店に向かっていた。「とりあえず、見てみよう」といういつものノリで。その新宿南店には、ディランの洋書やその他珍しい音楽本があるなど新宿本店とは違う個性がある。ネットでは売り切れでも、ここにはあるかもしれない。淡くもどこか確かな直感に導かれ、エスカレーターで6階に上がる。そして道案内されるわけでもなく、迷わず進んだ先にあったものは…。
『DigiFi No.10』だった!!「PC高音質化大作戦」、「特別付録!USB DAC付ヘッドフォンアンプ」といった文字が躍る!カチッとぼくの購買スイッチが押される音がした。その“大作戦”に乗ろうではないか。
二冊の『デジファイ』を抱えてレジに差し出す。ネットでは購入数を制限しているところもあるが、ここではたくさんあったので「使えるかも」ともう一冊。計7000円弱なり。(一冊3300円。)スイッチONのぼくにはクレジットのトラウマや金欠の恐怖はもうない。欲しいから買う、良さそうだから買う、ただそれだけだ。
午後の仕事もこなして、急ぎ足で家に帰る。さっそく子供のようにバリバリと開封して試してみたかったが、やはり疲労には勝てず、今日のところは興奮を避けて休む。その代わり、付録ではなく雑誌のほうを読んでみた。ふむふむ、これは工夫に工夫を重ねたOlasonicの自信作のようだ。(製作者のインタビューはここにある。 http://www.stereosound.co.jp/review/article/2013/05/17/21329.html )またヘッドホンアンプの魅力がぎっしりと詰まった一冊でもあった。(同様に「ステレオサウンド」のサイトに説明がある。 http://www.stereosound.co.jp/news/article/2013/04/09/20146.html )
布団から出て、ちょっとのぞいてみた。記事を読めば読むほど眠れない。
これが基板か。こんな小さなものが、大迫力のサウンドを生むのか。にわかには信じられない。さまざまな角度から眺めてみる。まずは全体像から。
次に側面を。左がヘッドホンの入力端子で、右にある二つの突起は音量調整のつまみだ。
反対側はこうなっている。左がUSBの入力端子で、こことパソコン側のUSBポートを接続するようだ。右にあるのがRCAの出力端子で、オーディオに疎いぼくはこれをなにに使うのかわからない。
とにかくUSBをつなぐのだ!と思い立ち、付録の箱をあさる。あ、と小声を発した。ない、USBケーブルがない!雑誌を引き寄せ確認すると、USBケーブルは付属されていないとある。一方で、こんな雑誌が紹介されていた。
要するに「これを買おう」ということか!値段は5000円。いいぞ、もういくらでも買ってやる。それに「RCA出力」も気になる。見ると、このような図が載っている。
これから想像するに、この基板とアンプをつないでスピーカーから音が出せるらしい。どうせならこの方法もやってみたい。明日は午後からの仕事で、午前は休みだ。雑誌を持って、町に出てみよう。
翌日、朝日とともにがばっと布団を跳ねのける。出発だ。ぼくはまず、本を売ろうと思った。でもつい最近処分したばかりで売れる本がない。だから父の本をキャリーバッグに詰め込み、売りに出した。もちろん同意は得ている。ぼくは「父の片づけの手伝いになるから」と合理的(合法的)に話をつけ、もう一度本を売ることに成功した。手にした額は5000円弱。これは良い値になった。ぼくは“ほやほやの紙幣”をにぎりしめ、秋葉原に移動した。
秋葉原ではこの基板の特別アルミケースをつくっているという「奥澤」(東京ラジオデパート地下1階)に突入してみた。ここでは細かいパーツを揃えたり、オリジナルケースを注文したりすることができる。所狭しと並んだ部品の山をかきわけ奥にすすむと、店員さんが立っていた。「あの…」と声をかけ、鞄から基板の入った白い箱を取り上げると、店員さんは中身を見るまでもなく一瞬にして「ああ、デジファイのやつですね」と言った。そして申し訳なさそうに「それは店頭には置いてなく、メールやFAXでの注文を受けてからの発送となります」と答えた。ぼくが間違っていた。家電量販店のようにぽんと「商品」があるわけなく、こういうものは職人さんが手間をかけてつくりあげ、一品ずつお客さんに届ける「製品」なのだ。ぼくは自分の「資本主義的感性」を批判して、お礼を言って店を後にした。
基板ケースはすぐには入手できなかったものの、今度はその足で駅前のヨドバシカメラに向かった。別冊ステレオサウンド『高音質USBケーブル』を見つけるためである。ここのヨドバシの上階には本屋さんがあり、エスカレーターの右側を歩いてひたすら上へ上へと目指していった。あるかな、あるかなと思いつつ、ここでも直感が働いて招かれるようにその雑誌の前にたどり着いた。財布には父の本を売った5000円が。これは運命だ。ためらわずに購入した。ついでに使えるかどうかわからないが、巡ってきた運に賭けてRCA端子のオーディオケーブルも買っておいた。
ヘッドホンアンプを持ち、USBケーブルを手に入れたとなれば、すぐさまその場で聴いてみたくなる。それを目論んでわざわざノートパソコンを携えてきた。電源のある適当なカフェに入り込み、セッティングを始める。そこである重大な事実に気づいた。しまった、肝心のヘッドホンを今日にかぎって家に置いてきてしまった!ぎらぎら状態からしおしおになって落ち込んだが、これも基板をコーヒーにかけて壊してしまうことを心配した神様のありがたい計らいと捉えよう。そう、ここにあるのは「剥き出しの基板」なのだ。“幼子”を連れて外出しているような気持ちになった。この子を早く“外に出してもいい大人”に成長させるべく、カフェで「奥澤」さんに「アルミケースつくってください」と改めてメールした。返信が待ち遠しい。(数日後、奥澤さんからメールが届いた。ただいま欠品により製造中で、仕上がりは一週間から十日くらいになるという。「せっかくの注文をスムーズに取引できず大変申し訳なく、急ぎで製作にとりかかります」と忙しいなかこんなにも丁寧な連絡をいただいた。ぼくは「ありがとうございます、心から楽しみに待っています」と送り返した。奥澤さんの温かさと誠実さに惹かれた。)
そんなふうに町を駆けているうちに陽が傾いてきた。いけない、職場に向かわねば。ぼくは西日を背負うメロスのように新宿へ走った。
午後の仕事を済まし、夜の予定に顔を出す。くたくたである。しかしキング牧師ではないが“私には夢がある”。ヘッドホンアンプという存在がぼくに力を与えた。
帰宅したのは深夜。やることは一つ、「聴く」ことだ。役者はそろっている。
パソコンをUSBケーブルで基板につないだ状態で起動させる。電源が入ったことを示すオレンジ色のランプが灯る。ぼくを“救済”する希望の光に見えた。
そしてiTunesを立ち上げる。以前紹介したように、そこには非圧縮のWAVエンコードで楽曲をインポートしてある。(デジファイでもこの手法は推奨されていた。)そしてついに、V-MODAヘッドホンを装着し再生ボタンをクリックしてみると…。ぼくは叫んだ。生きてて良かった。ものすごく感動的な体験をした。ディランのモノラル音源をかけてみたのだが、追い求めてきた「360 SOUND」が目前に、手を伸ばせばつかめる位置にあった。広がりと厚みと迫力のある音。これぞぼくの人生の響きと共鳴する“サウンド”だ。PC側の音量と同期している基板のつまみをいじり、今までなら到達できなかったボリュームを出してみる。
このようにiTunesのイコライザが一緒に使える。またUSBケーブルごとに音の違いが明確にあった。この基板と「ヘッドホン」、「イコライザ」、「USBケーブル」の組み合わせにより、自分の人生にぴったりとはまる“サウンド”を生み出すことができるはずだ。
一方で、PCにはハードディスク容量の関係で、あまり音楽ファイルを保存していないという人もいるだろう。ぼくも空き容量を確保するために、少しの楽曲(おもにディラン)しか取り入れていない。そこで、外部ハードディスクないしはUSBタイプのMP3プレーヤーを取り付け、聴けるかどうか確かめてみた。
ぼくは手軽さから愛用している赤色のLyumo(8Gで2,000円)をPCに差し込み、そこに入っている音楽ファイルをクリックした。するとWindows Media Player(以下WMPと略)が立ち上がり、スムーズに曲を流し始めた!もちろん“ヘッドホンアンプの音”となっている。だがWMPなのが不満だ。iTunesに機能的に劣るのではないかと心配した。そこでWMPの画面とにらめっこし、音に関係しそうなコマンドを片っ端から押していったら、なんとここでもイコライザを探り当てた!
「表示」→「拡張設定」→「グラフィック イコライザ」の順で進んでいくと、iTunesと同じようなイコライザ機能が画面に出現する。“ロック”や“ジャズ”、“クラシック”といったプリセットもきちんと設けられており、それぞれが音を如実に変化させる。Lyumoには音質にこだわらず多くの曲を圧縮して詰め込んでいたのだが、DigiFi付録のヘッドホンアンプとこのイコライザを通せば、それまでLyumoで聴いたことのないような“高音質”を味わえた。なんとなく過去を引きずって入れていたJ-POPも輪郭がはっきりし、ふいに青春時代の情景がありありと目の前に浮かび上がってきて、涙しそうになった。やっぱり生きててよかった。
次の日も朝から仕事があったが、ぼくはあまり疲労を感じなかった。昨夜の残響が美酒のように体中に染みわたり働くパワーとなっている。また「残る実験」が気分を高揚させた。つまり基板のRCA出力を発揮させてみることだ。その日の午後は、結局それに一日を費やした。
たしか大学入学時、授業をさぼり映画にのめりこんでいたころ、「奨学金」を利用してDENONのホームシアターセットを買った。5.1chのスピーカーだ。これが数年前にDVDやCDを再生するプレーヤーのほうが故障し、音が聴けなくなってしまった。先に挙げた「接続イメージ」の図を見ると、プリメインアンプと基板をRCAでつなぎ、スピーカーから音を出している。ぼくは久しぶりにDENONのシステムを見直し、もしアンプとスピーカーに問題がなければ、プレーヤーの代わりにこの基板を使って部屋で音楽が聴けるはずだと考えた。ここからオーディオとの格闘が始まった。
まず、ボードの奥まったところに取り残されたアンプを救出することだ。そこまでたどり着くのが大変だった。部屋にオーディオ機器を設置している人ならわかると思うが、一度下手に配置すると後でいじるときに面倒なことになる。ぼくの部屋は、これはなんの配線か、なんの電源かもはや判別不能で、そのうえそれらコードが絡まりあって“オーディオスパゲティ”状態になっていた。これに手をつけるとほこりがぼわっと吹き出す。前と同じく「部屋の大掃除」となった。
もう電源コードは見通しがまったくきかないので、「抜いて確かめる」という荒技を繰り返した。ある電源を抜くと、あるランプが消える。もしくはある異常事態に陥る。(何度か重要な電源を喪失して焦った。)それでコードと機器の関係を明らかにさせ、整理していく。ほこりまみれになりながら、一本一本ケーブルを解体・再編して、数時間かけてようやく“ご本尊”を取り出せた。
電源を入れると点灯した!数年ぶりに見るデジタル表記である。この後ろにRCA入力端子があればいいのだが…。ぼくは願いを込めてアンプを回転させた。
発見しました!!と誰かに報告したくなるくらい歓喜した。ここに先日購入したオーディオケーブルを挿入する。片方はDigiFi基板のRCA出力端子へ。
やるべきことはやった。この配線、この出入力が正しいかどうかは、iTunesを流したときにすべて判明する。
部屋に豊かなサウンドが鳴り響いた。大成功だ!!各々のスピーカーもまだ生きていた!基板のほうの音量は最大限にし、プリメインアンプのボリュームで調整する。音はどこまでも大きくなっていく。ぼくのようなオーディオ初心者なら、十分に満足できる力強い音となった。イコライザはiTunesに加えてアンプ側のそれでも操作できた。DENONが良いかどうかは人によって意見が分かれるだろうが、ぼくにとっては再び部屋に音楽が流れる生活に戻れたことがただ嬉しい。
たった3,300円の「DigiFiヘッドフォンアンプ」と、5,000円で四本手に入る「高音質USBケーブル」(本来それぞれで数万円はする)で、ここまで「音」を楽しめた。(2,000円のLyumoも加えよう。)ぼくは脱就活を実践し、現状では決してお金にゆとりがある生活ではないが、今の時代、このように目のつけどころ次第でいくらでも“豊かな”暮らしに“カスタム”できる。だから、金銭的な貧しさを恐れて人生の冒険に出ないのは、逆にもったいないことだと思う。オーディオ機器の特徴が鳴らしてみなくてはわからないように、人生も冒険してぶつかってみないことには響いてこない。ぼくもそんな冒険の過程で “自分の心はこんなふうにも響くんだ”と学んでいる。文字通り、「人生の音域」が広がってきた。
ぼくは部屋のオーディオがよみがえったように元気を取り戻し、休日は町へ繰り出た。心躍る “プログレ”スイッチが入ったぼくは、その歩みのなかで、V-MODAのイヤホンを買ってみた。どんな音がするだろう、どんな日々になるだろう。もちろん、分割払いにすることは忘れなかった。
※追記※
「奥澤」さんから注文していたDigiFiヘッドフォンアンプのアルミケースが届きました。第7回別冊の「増補版」として、その様子もここに記します。
その日の朝、「奥澤」さんから「大変お待たせいたしました。ALL SILVER 1台 発送準備整いました」というメールが来た。「入金の確認後、発送させていただきます」とある。ぼくは携帯電話を閉じ、腕時計を見た。8時だ。ATMに走った。
この時間ならもう開いているはず。ぼくはいつ“この時”が訪れてもいいように「奥澤」さんの口座番号をメモした紙切れを携えていた。ATMに入るとマシーンは作動している。ぼくはテキパキとパネルを操作していき、希望にじりじりと近寄っていった。
しかし、問題が発生した。この時間、確かに取引きはできるものの、振込手数料がかかるというではないか!みると「8:45」から無料になるらしい。なんだこの半端な数字は。どうやって決めたんだ。いずれにしても、その表示に出くわしたぼくは、潔くブースを後にした。
カフェで「8:45」直前になるまで時間をつぶした。場所は職場の近くに移していた。利用するATMを定め、そこまでの距離から逆算してカフェを出た。そして、混んでいたので多少のズレはあったが「8:49」に送金を果たし、「奥澤」さんにメールを送った。(もちろん、わざわざ伝える必要はないのだが、はやる気持ちを押さえられなかった。)
一日の仕事を終えて家に帰ってみると、「奥澤」さんからレターパックが届いていた。「8:49」が功を奏したのか、速い!!ぼくは笑ってしまい、疲れも癒された。
このように一応写真に収めておいたが、びりびりと破いてしまった後だ。さあ、組み立てよう!
部品はいたってシンプル。説明書もない。「これはこうだろう」という憶測でつくり始めた。
むむ、よくわからない。そういえば、ぼくは子供のころ、お菓子についていた付録の玩具もろくにつくれなくて父に頼んでいた。NHKの「つくってあそぼ」も全然あそべなかった気がする。ワクワクさんがハイレベルな大人に見えた。地図をぐるぐる回すように、思考錯誤しながら進めていった。
お、だいぶ形になってきた。こうなると、面白いように各部品がすぽっとはまっていく。寸分たがわぬ設計に唸った。これが職人技か。
あれよあれよという間に完成。今なら「つくってあそぼ」を見られるかも。(でも残念なことに、つい最近、番組は幕を下ろしてしまった。)
反対側から。基板をケースに入れるだけで、立派なオーディオ機器に変貌を遂げた。ではゴロリ、さっそくパソコンにつないでみよう!
これはサマになる!今まで恐る恐る触れていた基板も、がっしりとつかんで装着できる。そして電源を入れたり切ったりしながら改めて眺めてみると…
かっこいい!とても雑誌の付録から出来たものには見えない。USBとRCAの差し込み口、音量を上げ下げするボタン箇所、さらにはLEDランプが顔をのぞかせる穴まで、巧みに設けられている。
注文のやり取りから始まり、それを待つ日々や組み立てる作業まで、どれもが楽しく、心浮き立つ体験だった。今後も人生を豊かに鳴らす「音」が控えている。DigiFiの雑誌が三千円強で、このアルミケースも同じくらいの価格。安い!何事もただお金をかければ人生“良い音”となるわけではなく、逆に這いつくばって「目のつけどころ」を探し、人と人とでつながりあって音を“カスタム”していくことのほうが、愛着もわくし、豊かになった気分になる。振り返れば、どの過程でも各々が「ぎりぎりのところで良い仕事をしてやろう」という意識を持っていて、そんな「反骨精神」とでもいえる姿勢が“良い音”を生み出しているのだろう。そういう音を聴くからこそ、人は音楽に勇気づけられるし、自らも戦いに踏み出せるのだ、と思う日々でもあった。
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