妻しか（鹿）日記

登場人物： 私…鹿　妻…妻

第128回：妻としか住まない　その17

＊　＊　＊

中古マンションを買った多くのひとは、入居前にリフォームを検討するという。

われわれの物件は、売り主さんが部屋をきれいに維持し、売り出す際にはクリーニングも入れていたため、そのまま住める。

とはいっても、せっかくなので、なにか気になるものを改めよう！

あれもいいな、これもいいな。さて、なにを優先すべきか…！

妻鹿の答えは、

「お尻」

であった。

🍑

備え付けのトイレは、暖房便座はついているものの、お尻洗浄機能はない。（ウォッ●ュレットはTOT●の商標である。）

鹿は食洗機がまっさきに浮かんだが、お皿よりお尻であると、妻は主張した。

妻に言われれば、なるほど、世の基準はそうなのかもしれない。さっそく家電量販店に行ってみた。

🍑

いやあ、ピンからキリまである。何十万とするやつは、おそらくスイッチを入れた瞬間にキレイになるのだろう。

われわれの防衛線は「水がお尻に当たること」であったので、そこそこのにした。

お手頃であっても、さまざまな機能がついており、ますます上位機種のそれが気になった。

もはや用を足す必要がないとか。

工事日も順調に決まり、あとは至福の表情で腰かける日を待つだけだ。

シカミミ家の家訓もこれで決まった。

――幸せな生活はお尻からはじまる。