妻しか（鹿）日記

登場人物：私…鹿　妻…妻

第40回：妻しかわからない　その6

＊　＊　＊

ピピピッという電子音で目が覚めた。薄闇のなかでまた妻が背を丸めて座っている。

すかさず「何℃だった？」と尋ねると、だいぶ熱は下がったようで一安心。

妻「グッモーニン！　グッモーニン！」

！？

スマホに照らされた妻の目はらんらんとしている。

鹿「なにをみてるの？」

妻「世界情勢」

鹿「いま何時？」

妻「グッモーニン！　グッモーニン！」

！！

新聞が配達される音が聞こえた。夜明け前。異常行動。これが噂に聞くインフルエンザ薬の副作用か！？

と思ったのもつかの間に、妻は電池が切れたようにまた寝入ってしまった。

一瞬の輝きだった。