第27回『Koboパーク宮城に行ってみた』

201709/02

 

 東北楽天イーグルスを応援しにKoboパーク宮城に行ってきた。最寄りの宮城野原駅から楽天カラー一色で、訪れた者の胸は瞬く間にクリムゾンレッドに染め上げられる。その期待は球場一帯が醸し出すお祭り感とあいまってどんどん膨らんでゆく。射的にダーツにヨーヨー釣り、巨大迷路やお化け屋敷といったアトラクションから虹色に光る観覧車まであって、子どもだったらこれだけで大喜びに違いない。自分も童心に返り「ザ・プレミアム・モルツガーデン」に飛び込んだ。

 

 

日ごろは神宮球場を贔屓にしナイターでビールなど飲んでいるが、球場内の演出も一味違った。面白いアングルの映像だなあとスクリーンを眺めていたら、グラウンドの上でプロペラを回した機体がホバリングぐしているのが目に留まる。ドローンを旋回させ「空撮」を行っていたのである。さすがは三木谷……と楽天のサービスを利用してないクセに感心してしまった。また、どこかの動物園で連れてきた鷲が宙を切るパフォーマンスは、南の名門“若鷹軍団”のお株を奪いそうな迫力があり、後発であるがゆえの進取の精神を十分に感じ取ることができた。

 

 

 しかしながら、チームとしての実力は僭越ながら新参相応だと言わざるを得ない。これは自分が観た試合が大敗を喫したという結果から言うのではなく、戦い方そのものを見て感じたことだ。野村克也元監督が常々口にしていたこと、プロフェッショナルの“プロ”には「プロセス」の意味もあるんだということを実践している様子がほとんど見受けられなかった。つまり準備に準備を重ねて少しでも高い確率の方の手を選ぶという方法を、出たとこ勝負の姿勢(特に打ち方)から見つけるのは非常に難しかった。

 

 

弱いことを批判しているのでは全くない。むしろ弱いからこそファンをやめられない。わがホームチームのヤクルトの戦績は目も当てられない惨状となっているが、それでも目を見開いて「弱者が勝つ方法」を模索すること、これが野球の一つの醍醐味だと思っている。不思議なことに野球にはそれが可能で、近年ではチーム打率が6球団最低でも優勝を果たした落合中日がいい例だ。逆に最多勝の投手と60本塁打を放った最強野手がいた年のヤクルトは最下位であった。

 

 

こういった面白い競技を面白く見せてくれた戦い方の一つが自分にとっては「野村ID野球」であり、ヤクルト、阪神、楽天と弱いチームを渡り歩いてきた野村監督の軌跡である。「3年ください。3年目に花を咲かせます」とヤクルトを90年代に優勝に導いたのは有名な話だが、楽天時代は1年契約を延長し4年目に球団初のCS進出・2位を記録した。一介のヤクルトファンがパ・リーグのイーグルス観戦に出向いた背景にはこんな事情もあったわけだが、一日ではその遺伝子を確認できなかった。順位も3位に転落したが、そこで文句を言うなら“聴いて待つ”こともファンの仕事である。

 

 

 確かに子供の頃は高橋、松井、清原とスター選手そろい踏みで常勝が約束されていた巨人が好きだったが、社会に出てみると色んなチームを経験することになる。組織の例に企業を持ち出すのは野暮だが、「大企業」と定義されるものが全体の0.3%しかない中で、自分が“常勝軍団”に属すようなことはその機会においても長さにおいても限られている。安易な組織論でそれぞれの仕事が語れるとは毛頭思っていない。だが、それでもやはり4番を集めるだけでは勝てない「野球の戦法」はその時その時自分のいる環境に重ね合わせて考えられるような気がして、ついつい観つづけてしまうのだ。

 

イーグルスのCS進出を応援したい