詩No.2『Strontium Café』

201402/21
Category : Notesシカ噺 Tag :

 

サイドミラーから見えた過去には

作業着姿の友人が

90年代には戻れないと呟いている

 

“久しぶり、マスクをとって、どうぞ一服。”

 

彼はタバコの煙に身を隠す

いずれ今日は明日に追いついて

衝突の水しぶきに蝶が止まる

 

“いや、永遠なんて信じない。その前に、うるさく鳴ってるそこの電話に出たほうがいい。”

 

罪人は通り抜け、招き入れた者が罰せられる

静かに

やつらが列をなしてやって来る

 

“その絶望を絞ってみれば、熟れたぶどう酒がこぼれ落ちる。”

 

絶望に酔いしれて

彼女を見つめる

目には黄疸

 

“昔、二頭の白馬を飼っていた。一頭はこの地で死に、もう一頭は逃がして今もどこかを駆けている。”

 

騎手は騎手

走らせる術には長けている

彼女は悲しげな目をして馬の骨を拾い、ダビデの像をつくってみせた

 

“星座を眺めるのはよしなよ。そこには運命なんて描かれていないから。”

 

未来に通じる唯一の道は

排水溝

誰が灯りをくれるだろう

 

“でもね、火事になっちまった。この炭で、オレかオレの未来を描いてくれ。”

 

愛国人形が

彼女を轢いた

覚えてないとしらを切る

 

“裁判官は言った。死んだなら、そいつはただの非国民。”

 

火葬場と電話ボックスを往き来する

公用車のライトに目がやられ

彼女の残像が浮かび上がる

 

“この町には殺人か、出産か。夢を追いたきゃ出ていきな。”

 

教育は一酒に如かず

学ぶか酔うかして

書を捨てよ

 

“ゴミ溜めで宝探しを始めたのは誰だ? おかげでますますゴミが増える。”

 

言葉が彼を眠らせない

言葉を捨てる海が欲しい

それか収集する場さえあれば……

 

“もし子供のころに寝室があったなら、大人になって求めさまようことにはならなかった。”

 

さすらいのオルガン弾きが

終止符を打つ

この孤独、この葛藤に、メロディを添えて

 

“歌えばいい。起立すれば下手でも生きられる。”

 

そう、用を足した人々は

誰も彼に注意を払わなかった

彼女の美しさにも、その夏にも

 

“最後まで我慢してる者がもがき苦しむ。このカフェにはトイレがない。それが問題だ。”

 

残りは彼らを褒め称える

愛すべき、英雄として

でも二人は互いに抱き合いたいと願っただけなのに

 

“タダでいいよ、もう一杯、ここで付き合ってくれたなら。”

 

一円札